日本企業の営業利益率が低いのが気になっています

わたしが長年勤務してきた欧米企業が事業を行っていた消費財と食品の業界では、欧米企業に比べて日本企業の営業利益率が低い。わたしはそれが大変気になっています。なぜ気になるのでしょうか?

それは、日本企業の利益目標が低いせいで、日本市場でのビジネスが安売り競争になってしまうのではないかと思うからです。欧米企業でも、日本市場では利益が出せません。 欧米企業のビジネスでは、ほかの国と比べて、日本市場での営業利益率が低くなってしまいます。大きな理由は価格が安いからです。 「なんで、日本人は世界一良い品質のものを世界一安く売るのか?」 原価が高いよいものを安く売るから粗利率が低くなります。さらに、人件費が高く、人間が多い(リストラしにくい)ので、営業利益も低いです。おまけに税金も高いです。世界から見て、日本は事業を行うのに有利な国ではない、ということになってしまいます。

一般消費財で日本では優良企業である花王が、ホームページで世界での同社の立ち位置を示しています。世界では売上で9位。上位はP&G, ユニリーバで、営業利益率は20%を超えます。花王は13.8%。また、味の素社は食品世界10社入りをしたいと宣言していますが、それらトップ企業の営業利益率は15%前後から、高いものは20%越えです。日本の食品会社はだいたい数%。数年前は1-2%という状態だったので、これでもかなりよくなっていますが、世界の優良企業にくらべると、まだまだです。

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なぜ日本企業の営業利益率が低いのでしょうか?日本は戦後メインバンクから借りる間接金融が主となっており、もうけすぎずにほどほどの利益を出して、銀行から資金を借りっぱなしにしておくのがよかったから、利益率が低いという説があります。

伊藤レポートで、日本企業のROEが低い原因は低利益率だということが言われました。それから数年、営業利益率もROEも少し高くなりました。

日本企業どうしで日本で安売り競争をするのはやめて、適性な利益を稼ぎ出すべきではないでしょうか。そのうえで、世界に出て行ってグローバル企業になった方がいいでしょう。日本はもう、人口が減る国なのですから。

それから、私が注力しているもうひとつの論点があります。CFO組織の中のFP&A (管理会計担当者・Management Accountants)の果たす役割です。欧米企業のCFO/ファイナンス部門の重要な仕事は、事業部の業績目標達成と重要な意思決定を支援することです。わたしは長年外資系企業の子会社のファイナンス部門で勤務して、ずっとどうすれば会社の売上と利益が高くなり、目標を達成できるかを考えて働いてきました。一方、日本企業では、経理財務の人たちは事業から遠く、事業に近い経営企画部・事業企画部の人たちの財務会計・管理会計・コーポレートファイナンスの知識は十分ではありません。彼らが売上と利益を上げることに貢献する程度は限定的であると考えます。

私が提唱しているのは、

①経理財務または経営企画(管理会計担当者)の人たちを事業部に配置してコントローラーとして貢献してもらう。

②その管理会計担当者の人たちに財務会計・管理会計・コーポレートファイナンスの研修を行って実務に活かしてもらう。業績向上を支援する行動特性を学んで身につけてもらう。

この二つを実現すると、日本企業の利益率も、欧米企業のように高くなるのでは?そう信じ、日本企業の経理財務・経営企画の人たちをサポートして、売上と利益向上の支援ができるようにしたいと考えています。

①についてはこちらでくわしく説明しています。

②についてはこちらで説明しています。