日本企業では管理会計業務の行われ方に特徴があると言われています。もしかして日本だけが特別なのかもしれません。

私が勤めてきたアメリカ企業では、CFOの率いるファイナンス部門の中に管理会計を担当する組織があり、本社、子会社、部門、工場などにコントローラーと呼ばれる専門家を配置して、会社中の管理会計を担当します。管理会計を担当する人は、Management Accountants、FP&A (Financial Planning & Analysis)と呼ばれ、職業として確立されています。

アメリカ企業では、ファイナンス部門以外の人たちとの経営に関わる案件での会話では、主に管理会計がベースで行われます。

一方日本企業では、財務会計・法人ごとの会計に重きを置いて経営がなされているようです。そのせいか、管理会計の利用度が低いと感じます。日本で管理会計が発達して成果を上げていると言われてきたのは原価管理の分野です。しかし、管理会計は原価計算だけではなく、全社経営管理に使われるべきです。

日本企業で管理会計を担当する人は、経理財務部門だけではなく、経営企画、事業部、工場などいろいろな部門に属していて、ひとつの部門にまとまって存在していないと言われています。それでもなんとかなっているのはなぜかというのが不思議なところですが、それは日本人が押しなべてまじめで優秀だからでしょうか。でも、それだけではこれからグローバルで企業の業績を高めて世界の競合と戦っていくことはできないのではないかと危惧しています。

次の図表にあるように、日本企業では、管理会計担当者がさまざまな部門に散在し、その役割も企業によって違うようです。たとえば、経営企画が中長期経営計画と単年度予算を作ります。経理財務部門はもちろん実績管理をしますが、単年度予算の進捗管理も経理財務部門が担当する場合があります。策定は経営企画部門、進捗は経理財務部門が担当して、両部門のトップが違う役員。。というのは、なかなか業務が進めにくいのでは?と心配になります。策定と進捗管理は一つの部門が担当する方が効率がよく、中身の説明もしやすいのではないでしょうか?

管理会計担当者(FP&A)は、一定のスキル・知識・特性を備えた専門家であるべき職業です。日本企業では、”業務を知っている数字に強い人がやる”ことになってしまっていませんか?”数字に強い”というのも曲者です。管理会計に必要なのは損益計算の知識だけではありません。キャッシュフロー、バランスシート、コーポレートファイナンスの知識も必要です。簿記=管理会計ではありません。 公認会計士を採用すればOKと思っている方もいらっしゃいますが、公認会計士はもともとは監査業務の専門家であり、管理会計の専門家ではありません。日本企業には管理会計の専門家、FP&Aが必要です。それも一人二人ではありません。会社のたくさんの部門の管理会計を担当できる多数の専門家が必要です。

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