FP&Aキャリア相談⑫  海外MBA取得を考えておられる30代男性

今回のご相談は30代男性です。新卒で日本の大企業に就職し、特に営業組織の経営管理を数年担当されたそうです。FP&Aのセールスファイナンスの相当する業務かと思われます。外資系企業のセールスファイナンスは、営業部門のビジネスパートナーとして、支援します。営業部門の組織構築、中期計画、単年度予算の作成と進捗管理を行います。また、営業部員の重要な意思決定にも関わります。価格決定、値引きの判断、取引先にお支払いするリベートや協賛金についても、その投資とリターンについて評価・実行します。取引先と協働して売上・利益を高める活動に参画することもあるかもしれません。

その後、外資系コンサルに転職され、今は経理部門の業務の変革支援やプロジェクト管理を行っているそうです。将来的にはFP&Aに関心があるとのことです。

別途、以前から海外でMBAを取得することに関心があり、この度入学できるところがあり、留学準備をされているということです。

このお話をお聞きして、もしFP&A職に就きたいと思われるのであれば、MBA留学をされなくても、今でも求人応募されれば、採用されると思います。わたしが知る限りでは、海外ではMBAは20代のうちに取得して、そこからキャリアを積み上げる感じでしょうか。MBAは基本的学位であり、それをとったからと言って、昇進につながるようなものではありません。30代半ばでもMBAをとるのはもちろんよいことですが、それによってキャリアアップになるかどうかは保証されません。むしろ、今2年ほどキャリアを中断することになるリスクがあります。MBA取得後にまた就職活動をするわけですが、そこでは留学前のキャリアを職歴として見られます。今はMBAは国内で働きながらでも取得できるので、「なぜ仕事をやめて海外に行くのか」というところは、よく考えることをお勧めしました。リスクを承知で行くことはよいと思います。

全体的に思うのは、日本人はキャリアを進めるスピードが遅いということです。私が勤めた外資系企業では、20代前半ですでに、大学で経営・会計を学び、CPAかMBAをとってから就職します。20代で管理職になり、30代前半では部長職になり、組織を率います。今回の相談者のケースもそうですが、30代になって、いまからMBA取得を考えたり、将来のキャリアの方向性を考え直しており、管理職にもなっていないわけです。いまから外資系企業のFP&Aに採用される可能性は高いとは思いますが、場合によっては、同級生のCFOや部長職の方の、部下の部下になってしまうことも想定されます。外資に転職する際は、それを覚悟する必要があります。

日系企業ではそもそも昇進スピードが遅いので、みなさんあまり気にされていないかと思います。20代で2-3度転職し、いくつかの職種を経験し、30代でもまだ、管理職ではない状況で次のキャリアを何にするかを考えていらっしゃる方が多いです。人生は長いので、それはそれで構いません。しかし、海外のグローバル企業での働き方、昇進のしかたと比べると圧倒的な違いを感じます。

他の方にもアドバイスをしているのですが、自分のスキルを増やすことを目的に「横に」転職するのではなく、組織に貢献して昇進して管理職になり、上に上がっていくことも並行して考えていただきたいですね。

相談者のお名前等わからないようにして、このようにnoteに書かせていただきますが、ご相談をお受けします。こちらのホームページの問い合わせ欄から、ご連絡ください。