FP&Aは管理会計活動を行います。管理会計の主な目的は事業の業績目標達成と意思決定を支援することです。まずは業績目標達成支援の機能から見ていきましょう。
IMA(Institute of Management Accountants)が734社への調査の結果,業績が良い会社のFP&Aがやっている12の行動原則をまとめています(Serven 2017)。ここでの業績が良い会社とは、自社の業績目標を達成し,競合他社の業績を上回っていると回答した企業を指します。

(2022年に、IMAの日本支部のウェブサイトで効果的なFP&Aプロセスの12の原則(日本語訳)が掲載されましたので、こちらも参考にしてください。

効果的なFP&A活動が行われると,次のことを実行することができると説明しています。

  • 株主価値を向上することができる
  • 戦略を実行することができる
  • 財務上と運営上の両方の目標を達成する仕組みを作ることができる。
  • 組織に戦略を理解させ,各部署が何をすればいいかを周知させることができる。
  • 経営資源をうまく配分することができる。
  • プロジェクト,プログラムの遂行がうまくいく。

そのために次の12の原則(Principle)を実行するとよいとまとめています。

FPA12principles1

FPA12principles2

Foundation(基盤)の構築

  • 戦略を策定し,実行できるプランに落とし込む
  • プロジェクトを実行するための資源(ヒト・モノ・カネ)を定めて予算に入れる。
  • 運営上実行する活動がどのように会社のPL/BSに影響を与えるかを理解して進捗管理をする。
  • 財務業績への影響を深く理解したうえで計画を策定して実行し、実行後には実績と計画の乖離を分析し、数値の裏にある理由をストーリーとして語ることができる。
  • 財務と運営(非財務)のゴールを同時に追いかけ,決算の結果が出る前でも乖離の兆候があればすぐにアクションをとって,もとのゴールに届くように軌道修正する(Agilityの実践)。

中級編:プランの実行者に“Accountability”(説明責任)を持たせる

  • それぞれの部署,個人にAccountability(責任)をもってプランを実行し,目標を達成してもらうことが,全体のプロジェクトの目標達成には不可欠である。財務だけでなく,運営の目標も,現場まで落としこんで伝える。
  • 7) 個人にも組織にも,財務目標を達成してもらえる仕組みをつくる。(報酬、昇進などの仕組み)
  • 8) 個人にも組織にも,運営上の(非財務)目標を達成してもらえる仕組みをつくる。運営上の目標を達成すると自然に財務の目標も達成できるように設定する。

上級編

  • 事業の成功をもたらすドライバーを設定し,どうやって達成度を計るかも決める。
  • 事業の成功をもたらすドライバーについて,短期,中期,長期に目指すべき,適切な目標を設定する。
  • 目標を達成するための具体的な施策も決める。 
  • 事業の成功をもたらすドライバーの目標達成度をモニターし,その達成度に伴って適切なインセンティブを設定し,プランの実行者にAccountabilityを持たせる。

このようなことは既にやっている,という企画担当者はいるだろうが,「結果がでるまでとことんやっているか」が重要です。

参考文献:

Serven, L. 2017. 12 Principles of Best Practice FP&A: High-performing companies use these principles to implement best practice FP&A that drives business results. Strategic finance, 99(5), 32. https://sfmagazine.com/post-entry/november-2017-12-principles-of-best-practice-fpa/