「どこにでも行ける人」を育てる
現在、小規模のコンサルティング会社における、若手コンサルタントの育成計画、業績目標設定などのお手伝いをしています。私自身、5月から人生初のコンサルタントとしての職業人生を始めています。今までは大企業の経営陣の一人、経営管理担当者として勤務してきました。自分自身の生み出すサービスを提供して対価をいただいたことは今までありませんでした。
大前研一さんのファンで、BBTチャネルを視聴しています。その中に2005年のものだが、内田一成氏がボストンコンサルティング時代にまとめた、経営コンサルティング講座があり、まずはそれを見ました。経営コンサルタントは、分析力を駆使して仮説を構築し、それをインタビュー、ディスカッション、考察を通して検証し、顧客のために解を見つけ、資料を作ってプレゼンし、納得してもらい、顧客に実行に移してもらいます。
わたしが関わっているコンサルティング会社では、ソフトウェアの開発と販売に伴うコンサルティングを行います。顧客のために解を見つけてあげるのではなく、顧客が自ら解を見つけるための支援をします。
それにしても、優秀な若手のコンサルタントたちに、自分たちの職務がなんであるか、何を期待されているのか、それを遂行するためには、どのような基本・応用スキルが必要なのか、それらを理解して装備してもらう必要があります。それらの定義を行いました。必要なスキルを学ぶ方法についての例示も行いました。
目標は、「彼らがどこにでも行ける人になること」。でも、それは彼らが転職するためではありません。「どこにでもいける」が、「ここにいたい」人たちにするのです。優秀な人が働きたい職場にすることが重要です。それが職場の満足度を高めることになります。
P&Gは、どこでも働ける人たちをつくっています。競争の激しい職場なので、なかなかいつまでもいられないのですが、そこにいられなくなっても他に行くところがあります。だから、職場も進化し続けることができる。進化についてくる人は一緒に行けるし、ついてこない人はよそに行けばよいのです。
日本企業は、「どこにも行けない人」たちを大量生産しているのかもしれません。外を見ず、引退までいることを前提にしているから、学びなおすこともありません。人を入れ替えることもできません。もともと優秀な人たちだったのに。どこにも行けなくなってしまった人たちを引退の日まで養わないといけません。そのために、優秀な人のお給料を上げてあげることができません。優秀な人は去っていきます。去れない人が残ります。
「どこにでも行ける」人になれる職場をつくる。でも、「この職場がいいからここにいる」。それが理想ではないでしょうか。