IMAのStrategic Financeに論文が掲載されました
IMA(Institute of Management Accountants: 管理会計士協会)のジャーナルである、Strategic Financeに、わたしの論文が掲載されました。
LESSONS FROM CFO TEAMS IN JAPAN という題名で、2018年に私が発表した論文を、IMAのNINA MICHELS-KIM さんと共著で書き直したものです。もとの論文は、わたしは慶應ビジネススクールの修了論文として書いたものを、精査してから2019年に青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科後期博士課程の研究年報に載せています。 https://www.agulin.aoyama.ac.jp/repo/repository/1000/20994/20994.pdf
そもそも、わたしも問題意識は、アメリカ企業の高い営業利益率と、日本企業の低い営業利益率の違いの理由のひとつとして、ファイナンス(経理財務)部門の違いがあるのではないかということです。わたしが長年アメリカ企業の日本子会社のファイナンス部門で取り組んでいたのは、いかにしてファイナンスが、ビジネスパートナーとして売上と利益を向上させることに貢献できるかということ。その仕事がほとんどです。一方日本企業の経理財務部門の仕事は文字通り”経理財務”がほとんどと言われます。その理由の一つとしては、日本企業には経営企画という別の部署があり、そのため経理財務部門はビジネスに近づく機会が少ないということ。しかし、経理企画部門の方々は優秀ですが、会計・ファイナンスのプロではありません。アメリカ企業のように、会計・ファイナンスのプロが会社のPL管理をやった方がいいのではないでしょうか?
「日本 CFO 協会を通して行った調査の結果,特にどのような経営管理 ・ 企画機能を経理財
務組織が主管 ・ 関与すれば,企業の営業利益率を上げられる可能性が高いかが判明しました。次
に挙げる 3 つの機能です。これらの機能は日本企業では各事業部の会計スキルのないもの
が担当している場合が多い。経理財務部門長直下の人材が担当することにより,営業利益率
向上の実現が期待できる。
• 機能 12:商品・サービス・店舗などの損益実績分析による運営改善・継続可否判断・提案
• 機能 13:新商品・サービスの原価目標・価格設定提案
• 機能 17:宣伝広告費・販売促進費などの投資判断・進捗管理・効果測定」
この論文を2018年に早稲田大学で行われたアジア管理会計学会で発表したところ、IMAのNinaさんが興味を持ってくれ、共著でStrategic Financeに載せようということになりました。
日本企業の営業利益率を向上させる一つの施策として、上記のような機能に関して、会計・ファイナンスのプロである経理財務部門が主管、または関与することが重要です。経営企画や部門の企画担当者がやるのも構いませんが、きちんとCFO/経理財務と連絡をとりながら、みてもらいながら、遂行してほしいです。