FP&Aキャリア相談⑦ 事業部門内でFP&A業務をされている方

noteにFP&Aキャリア相談⑦を投稿しました。

現在30歳くらいの方です。現在、日本の大企業の子会社の事業部門でFP&A業務を担当されています。売上・利益予測などを作成して、子会社の経営管理部門に提出することが主な業務です。上司は事業部門長の方。経営管理部門にレポートラインはありません。事業部門長の方にどのように貢献すればよいのか、どのようにすれば評価されるのか。特にJD(Job Description)もないし、決まった評価基準がないようです。

日本企業ではよくあるケースだと思います。本社ですと、経理部門、経営企画部門等にFP&A業務を担当されている方がいて、十分でないにしても、それなりに、所属する組織において、研修制度があったり、キャリアパスを考えてもらえたりはします。しかし、事業部門内の事業管理業務になると、FP&A(管理会計)業務だけでなく、人事総務、システム管理などその他雑多な業務を担当しており、その業務リストもきちんとないケースもあります。なんでも担当する多能工になってしまうそうです。評価も事業本部長次第。事業本部長が”数値で物事を判断する”ことを尊重されている方であれば、FP&Aが会計とファイナンスのプロフェッショナルとして提言をすることもできますが、そうではない場合は、聞いてもらえないこともあるでしょう。

私は日本企業における、このような状況を大きな課題だと考えています。特に終身雇用が前提である日本企業では、営業や製造、経理などの最前線を退いた方が、このような事業管理の部門に集まってくるケースがおおいようです。大勢いても半分以上50代ということもあると聞きます。もちろんきちんと仕事をされていますが、全社視点・長期視点を持って部門の業績・業務改善に取り組むことが難しい方もいるようです。そのような部門に若者を入れても、やめてしまうケースも多いとか。

この方のケースで私がお勧めするのは、経営管理部門長に助けを求めることです。自分を経営管理部門所属(実線でも点線でも)にしていただき、子会社全体の経営情報にアクセスできるようになる。それを持って事業部門の支援に活かすことができます。自分一人で事業部門長に提案をするときにそのまま聞いてもらえないようであれば、経営管理部門長の方に支援してもらう。

米国企業では、事業部門のFP&Aは本社のCFO組織に所属します。普段は事業部門にいて事業部門長に、会計とファイナンスのプロフェッショナルの視点からアドバイス・支援をします。もし、事業部門長と意見が合わないようなことがあれば、本社のCFO部門と相談して、バックアップしてもらうことができるのです。

事業部門長にレポートするFP&Aの場合、事業部門長に都合が悪いような提言を受け入れてもらうことは難しい場合もあります。

外資のFP&A職からのお誘いもあり、転職も考えているようです。外資に行く場合は、日本子会社における業務範囲が縮小しているケースが多いので、日本子会社の事業の規模、どのようなFP&A業務があるのか、もし縮小した場合、海外で勤務できる可能性はあるのかなど、よく確かめることをお勧めします。いずれにしろ、外資の日本子会社は規模が小さいので、ローテーションの機会が少なく、長く在籍することが難しい場合が多いです。

私がFP&Aアドバイザーとして支援している日本企業では、事業部門の中の事業管理(FP&A)担当の方を、本社の経理部門・経営企画部門とつなげることを提案しています。FP&A業務を担当している方が会社中にばらばらいるのが日本企業の特徴ですが、それらの方を一つの組織に属してもらって、必要な研修や育成をしていただきたいです。