FP&Aキャリア相談② 成長途上企業の経営企画の方

本サイトを読んでいただき、問い合わせをいただくなかで、キャリア相談をいただきます。

先日は、上場を果たしたオーナー企業の経営企画の方からご連絡をいただきました。その方は30歳くらいの方で、新卒で就職した大企業から転職して今の会社に経営企画で入社、オーナーを助けてIPOを達成したそうです。すごいですね。

その方は、私が主任研究委員をつとめる一般社団法人日本CFO協会が昨年はじめた「FP&A講座」を受講して、これはいいなと思ったそうです。FP&Aになれば、管理会計のプロフェッショナルとして、自信をもって転職も含めたキャリアアップが可能になる。外資系企業で厳しい環境で自分の能力を伸ばしていきたい。

https://www.cfo.jp/cfo_school/fp_and_a/

現在の職場ではこのような悩みをお持ちです

*オーナー社長の下でなんでも指示された業務をやっているが、特に知識やスキルが伸びる気がしない。誰からも怒られたり注意されたりすることがない。成長の機会が見いだせない。

*経営企画としてどのような知識・スキル・特性が必要とされているのか調べてもわからない。

*今のポジションからさらに上がれると思えない(経営陣は年配の方ばかり)

悩んだ結果、まずは知人に相談して国内のMBAに行くことにしたそうです。それから、すぐにではないにしろ、転職活動を始めるそうです。FP&Aのことを知り、外資系企業への転職がよいと思い、わたしに相談されました。

ここには、日本企業特有の問題があります。日本企業ではCFOというポジションがあっても、通常経理財務部門だけを担当されています。CFOの方は、経理出身か、メインバンクから来た銀行出身の方、外から雇われた公認会計士の方などが多いです。CFOに企業参謀としての役割は期待されていません。

一方、社長の参謀は、社長室または経営企画室が担当しています。ここに配属になる方は事業部門で優秀だったかた、計数管理が得意で、次期社長や事業本部長になる可能性のある方であることが多いようです。戦略策定・予算管理などを担当しますが、それ以外にも人事、法務、リスク管理その他、なんでも任されます。社長の特命事項、プロジェクトの事務局など多種多様な業務を担当し、非常に多忙ではありますが、何かの専門家になることが困難です。

米国企業ではCFOが経理と経営企画、さらには事業部門での事業企画・事業管理担当者も掌握します。会計とファイナンスのプロフェッショナルとして、社会的に認められた職業です。転職を含めたキャリアアップが可能です。必要な知識・スキル・資質等も定められているので参考にしやすくなっています。

わたしの、その方に対するアドバイスは、次のようなものです。

外資系企業への転職はあまりお勧めはしない。まずは、今その方がよい外資系企業のFP&Aポジションに転職できるとは思えない。外資系企業では、大学で経営学や会計を学んでCPA・MBAを取得した人がFP&Aとして入社し、非常に厳しい環境で働いています。30歳くらいであればすでに部長職の人もいます。英語がでビジネスコミュニケーションができることも当たり前です。

外資系企業のFP&Aポジションを得て成長できたとしても、その先のキャリアが不明瞭です。優良外資系企業にとって、日本市場は魅力的なものではありません。専門性の乏しく人件費が高い日本人、高品質なものを低価格で販売し、収益性の低い日本企業との競争。日本子会社の規模は縮小することが多いです。日本人は、日本国外で活躍できるほどの人材でない限り、いつか限界が来て、外資系企業を転々とすることになってしまいます。その時にまた日本企業も戻ることは困難です。

それよりも、望ましいのは、今のその方の職場環境で、自分と組織を向上させ、会社をさらなる成長に導くことです。もしその企業に成長が見込めないのであれば、別の日本企業でそのような企画を探すのもよいと思います。

ということで、しばらくはMBAでの勉強を進めながら、今の会社での成長または別の会社での成長の企画を探されるそうです。

外資に転職しなくても、外資系企業でのFP&Aとしての働き方については、私がご指導できます、ともお伝えしております。