経営企画室も内部監査室のように国際資格取得を勧めるとよいのでは
先日、日本企業の役員の方と、興味深い話をする機会に恵まれました。その方は企業のリスク管理を担当されています。
日本企業の内部監査部門には、企業内のさまざまな部門で勤務された方々が、キャリアの終わりの方に配属されるケースが多いです。内部監査業務には事業の知識が必要で、それらをすでに持っている方々が業務にあたるのは合理的です。しかし、彼らは内部監査のプロではないので、着任後に国際資格であるCIA(Certified Internal Auditor)資格を取得することを推奨され、実際に取得されることが多くなっています。
わたしは昨年、CIA取得を考え、内部監査協会に入会し、資格試験の通信教育を購入し、勉強を一通りやりました。CIAはCPA(公認会計士)試験等に比べると、もちろん取り組みやすくはなっていますが、決して簡単ではありません。3つのパートがあり、監査・内部統制について学ぶほかに、財務会計・管理会計・戦略策定等についても一通り勉強する必要があります。内部監査の目的は不正を見つけてただすことだけではなく、事業価値向上のためのアドバイス、業務効率を高めるアドバイスなども含むからです。
その役員の方は、海外で内部監査を担当する方々が集まる会合に参加して、ほかの国の方々は、一生内部監査をやっている、プロばかりとおっしゃっていました。内部監査担当としてほかの会社に転職してキャリアを高めているようだということです。それは、海外ではほかの職種も同じことです。CPA/MBAを取得した人がファイナンス部門にはいって、さまざまな異動や経験をしたあとにCFOになります。
日本の内部監査部門の方々が、営業や製造など、事業を経験してから内部監査に配属になるのはとてもいいことです。そのあときちんとCIA取得の勉強をするので、専門知識と事業知識の両方を得られるわけですから、理想的です。
ここで、日本企業の経営企画部のことを考えてみました。欧米企業ではこの仕事はFP&A(Financial Planning & Analysis)と呼ばれて、CFO部門の中にあります。CPAかMBAを取得している人が担当するのが普通です。日本では、営業や製造など、事業を経験した優秀な人が集められます。内部監査と違うところは、もうちょっと若手が集められることでしょうか。でも、新入社員が経営企画に配属されることはあまりないようです。もちろん、経営企画部の方がCPA,MBAを取得されているということはあまりないでしょう。経営企画の仕事は多岐にわたりますが、業績目標達成や意思決定のための管理業務が多くなり、コーポレートファイナンスや財務会計・管理会計の知識が必須となります。それに加えて事業知識も必要です。
日本企業の経営企画部も、内部監査部門のように、FP&Aの国際資格である、IMA(Institute of Management Accountants) が運営しているCMA(Certified Management Accountants)という管理会計士資格や、CGMAやAFPが運営している国際資格の取得を推奨して、勉強してもらうのがいいと思います。受験者にとってもメリットは二つ。①現職の仕事の質と成果を高めることができる。それから、②他社でも専門職として働くことができる。
経営企画の機能強化に、内部監査部門モデルが使えるのではないかと考えます。この考えを広めていきたいと思います。