FP&Aキャリア相談㉝ 大手IT企業の子会社管理(FP&A)だが、いまひとつ貢献のしかたがわからない

FP&Aキャリアに関心のある方の相談に応じています。キャリアは自分で決めなければなりませんが、参考にしていただければ幸いです。

この方は大手IT企業の子会社でFP&Aをされている方。この企業はFP&A機能を導入していてCFO配下にFP&A組織があります。計数管理と経営会議の運営を担当しているが、とりまとめの仕事を主になっている。

もっと管理会計を使って事業成長に貢献できる仕事をしたいと思うが、今の職場にそういうロールモデルがいない。転職も考えたが、どの企業で本当にFP&A機能を持っているのかはわからないので、また同じ状況になるかもしれないと危惧。

この方とお話ししました。最近は、FP&A職についているが、あまり貢献できていないので、貢献できる職場を探したいというご相談が多いですね。とてもレベルの高いFP&A職は、やはり外資になりますかね。ただ、外資ではFP&A職は本社にあって、子会社ではあまり機能していない場合も多いです。子会社では営業機能しかない場合は、人件費・販管費の管理が主なFP&Aの仕事になります。本社で重要なポジションに就くことができればよいのですが、必ずしもそれができるとも限りません。

日本企業の場合、FP&A機能を入れていると言っても、企業の一部であったり、まだまだ成熟途上であったりします。今までコーポレート部門と事業部門が分断されていたのが、やっとFP&Aでつながり始めたというところでしょうか。まだまだ真のビジネスパートナーとして貢献できるレベルには達していません。ただ、だからこそまだまだのびしろが大きいわけです。

この方とは、私が今アドバイザリーサービスを提供している卸会社のFP&A組織構築の話をしました。卸は利益が出しにくい業種です。仕入先から商品を仕入れて保管して、顧客のところに持っていく。大量に安く仕入れて高く売れれば儲かるわけですが、なかなかうまく行きません。大量に仕入れると余るかもしれません。顧客のところでは競合会社がしのぎを削っており、安くしないと売れません。そこで、親会社の経営企画の意向で、子会社にFP&Aチームを作りました。営業・総務・経理出身の混合チームです。そこで私のが”問題解決研修”を行い、利益がでない真因を探りました。その結果、営業組織・人材の強化を検討することになりました。仕入、在庫、販売まですべて営業の方の仕事です。何をいくらで買うのか、どこで何をいくらで売るのか、FP&Aが数値を分析して最適解を探し、テスト運用しながら、今後の施策を練ります。

卸業でもFP&Aの活躍の場があります。この方がお勤めのIT企業ではどうでしょうか。よく聞いていると、事業の利益をもっと出せそうな場がありそうです。例えば、ソフトウェアを仕入れて顧客に売るような事業もあるそうです。卸業と同じことですよね。

経営会議の運営をしているということですが、すべてうまく行っていますか?親会社に戦略、事業計画、予算の中身、KPIなどわかってもらっていますか?親会社の経営陣が経験のない事業を子会社がやっている場合、理解してもらっていないこともあるのでは?親会社との対話を増やし、わかりやすいKPIを自動的に見てもらう仕組みを作っては?

お話をしたあとのこの方のフィードバックです。「お話を通じて、社内外の理解が大変深まり、様々な不安や疑問が腑に落ちました。
あらためて、このまま現職で貢献することにフォーカスしていきたいと思います。」

私がお勧めするのは、まずは今いる職場で学べることを学び、出来ることを最大限することです。どんな事業でもFP&Aが貢献できることはいくらでもあります。転職を考えるとしても、今の職場での貢献が役に立ちますよ。

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