FP&Aキャリア相談㉛ 金融機関の経営企画にいるが、外でFP&Aキャリアを歩みたい

FP&Aキャリアに関心のある方の相談に応じています。キャリアは自分で決めなければなりませんが、参考にしていただければ幸いです。

この方は大手金融機関に新卒から勤めていて、主に経営企画部門で業務にあたってきました。国内のMBAに学び、そこでFP&Aを研究テーマにしたそうです。FP&Aキャリアに興味を持ち、そのような職を探してみたいと考えたそうです。

さて、わたしがその方とお話をして、まずは自社でFP&Aをやっては?と提案しました。しかし、今はその方は経営企画部門に所属してはいるものの、予算管理とは別の業務を担当しているとのこと。今自分がFP&A組織を立ち上げるような立場にはないということです。

そもそも、日本では金融機関ではFP&A組織立ち上げが進んでいません。先日、金融機関の経理財務と経営企画の方々にFP&Aについてお話しする会がありました。わたしとスポンサーの講演のあと、懇親会もあり、いろいろ本音を聞く場がありました。日本の金融機関では、経営企画部門がとても強く、中計策定や予算管理機能だけでなく、関連省庁との連携を管掌しているとのこと。そのため、経理財務部門は制度会計と予算等の集計の業務担当に限られているようです。CFO協会のFP&A研究会にも、銀行の経理財務部門の方が参加してくれています。しかし、なかなか進まないようです。

しかし、例えば米国の銀行にはCFOもFP&Aもいます。逆に経営企画という部門はないのです。日本でも、一度破綻して立て直し、外資人材がはいったような金融機関では、普通にCFOがいて、経営管理全般を管掌されています。やはり、何か事件がないと、日本企業に変革は現れないようです。

もちろん、必要がなければ変革を起こす必要はありません。日本の金融機関の場合、経営企画部門がFP&Aとなり、知識・スキルを磨き、事業とつながることができれば、それでよいと思われます。

ご相談された方は、金融機関の経営企画部門に所属する方なので、上司や周りの方と話して、FP&A機能を整備しては、と提案しました。

同時に外で自分がキャリアを広げられる機会がないのか探索を続けることもいいことです。ただ、その方は、経営企画部門にいても、全社の経営管理を担当したことはないようなので、FP&Aとしての転職は容易ではないかと思います。それであれば、まずは自社での変革を考えていただきたい。その経験を活かして、外でFP&Aキャリアを進めることもできるでしょう。

このようなご相談を受けたときは、わたしはまず「今いる職場を最大限活かし、できることをやる」ことをお勧めしています。転職は慎重に。必ずしも期待することができる環境があるとも構いません。転職するなら、知り合いがいて事前に環境がわかるところですと安心ですが。

お話ししたあとに、その方からいただいたメッセージです。
「多くの会社をご覧になっている池側様からお話を伺えて、大変勉強になりました。各社のFP&Aの違いやほかの職種に関しても理解が進みました。
また、会社の中でFP&Aを導入することは選択肢としてあまり考えていませんでしたが、検討してみたいと思います。

進捗があればぜひ教えていただきたいです。
https://strat.jp/