業績への貢献に向けたFP&A機能 (経営企画/管理会計)における現状と課題

日本CFO協会のウェブサイトでFP&Aの皆様向けに行っていたマネージメントサーベイ(アンケート)の結果をレポートにまとめたものが本日掲載されました。http://forum.cfo.jp/cfoforum/?p=15894/

CFO協会会員限定サイトなのですが、このようなことを書いています。

支援する組織の業績目標達成に貢献していると感じているFP&Aは、貢献していないFP&Aと比べて、下の①~⑤のどの役割をより大きく発揮しているのでしょうか?言い換えれば、どの役割を果たすことが効果的でしょうか?売上目標の達成に貢献しているFP&Aが果たしている役割として、結果は④の事業を理解し、チームに寄り添う、でした。FP&Aが売り上げに貢献することは簡単なことではないのですが、日々事業部のメンバーとともに過ごして意思決定支援をしているFP&Aは売上目標達成にも貢献できるのですね。

役割タイプ① 業績目標達成・収益性向上へ導く。

  • 支援している部門の責任者やチームの業績目標が達成できるように導く。業績目標のうちでも、収益性を向上することは大きな目標となる。

役割タイプ② 情報提供による意思決定支援をするビジネスパートナー

  • FP&Aは、経営の意思決定に役に立つ資料やレポートを作成して提供する。定型的な資料やレポートを提供するだけではなく、原因分析や今後の施策の提案を加え、実際に支援している部門の責任者やチームの意思決定の質を改善し、よりよい行動をおこすことが重要である。
  • 端的に言うと、アドバイザー、価値あるビジネスパートナーと表現することができる。

役割タイプ③ 部門の問題の聞き役である

  • 支援する部門の責任者やチームメンバーの良き相談相手、聞き役としての役割。

役割タイプ④ 事業を理解し、チームに寄り添う

  • これは欧米先進企業において、事業部門・機能部門を支援するFP&Aの役割である。事業部門・機能部門の責任者やクロスファンクショナルチームの近くに席を置き、重要な会議に出て、毎日の情報を共有し、チームの業績目標達成や意思決定を支援する。事業部門・機能部門による日々の意思決定が積み重なって会社全体の売上や利益に影響を与えることから、FP&Aが管理会計・ファイナンスの知識や、ソフトスキルを備えて日常的に支援することが重要である。

役割タイプ⑤会計情報と精緻な分析を提供

  • 財務会計・管理会計の専門家として企業の財務・会計のシステムの正確性に責任を持ち、事業に必要な会計情報と精緻な分析を提供する。

また、FP&Aが利用する知識・スキルについても調べました。

知識・スキル① 課題分析・解決提案・変革をドライブ

  • 業界・事業や社内の業務プロセスを理解したうえで、課題を分析、見える化し、解決策を支援する部門に提案し、実際に行動を起こさせる力を指す。

知識・スキル② 業績目標設定と管理

  • 戦略策定、中期経営計画・利益計画の策定と進捗管理、財務・非財務の業績管理を行う知識とスキル。

知識・スキル③ 財務会計・原価計算の知識

  • 財務三表と原価計算、税務、内部統制に関わる知識

知識・スキル④ ファイナンス知識で事業計画の評価・意思決定支援

  • 事業計画、投資評価に関する意思決定ができるコーポレートファイナンス知識や意思決定のスキル

売上目標の達成に貢献しているFP&Aは①と②の知識・スキルを活用しています。③と④ではあまり差がつきません。財務会計・ファイナンスの知識は必要ですが、それを持って利用しているからと言って、売上目標の達成に貢献はできませんね。課題を分析し、解決提案をし、事業部のメンバーの行動を促し結果が出てはじめて貢献できるということです。

言われれば当たり前と思われることですが、実際アンケートをとりましたら、明らかな結果が出ました。管理会計で人を動かす。動かしてはじめて業績に貢献できます。なるほど、という結果でした。