日本企業の管理会計担当者の役割は変化しているのか

青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科後期博士課程の紀要論文集、プロフェッショナル会計学年報13号に、論文を載せました。題名は次のようになります。通常であればすぐにCiNiiに載せていただくところですが、新型コロナウィルスの影響で大学院の事務局が閉鎖になっております。そこで、こちらに掲載しておきます。

「日本企業の管理会計担当者の役割は変化しているのか~ビジネスパートナーとして企業業績向上に貢献する役割~」

管理会計担当者という言葉は、英語で言うとManagement Accountantになります。日本では使われることがあまりない単語ですね。管理会計ということばは聞きますが、これは大学の授業の科目であったり、公認会計士試験の試験科目の一つであったりはしますが、さて、日本企業ではだれが担当しているのだろう?日本企業では、経営企画、事業企画、原価企画、商品企画、など各部門にいる”企画”と呼ばれる人たちが担当していることが多いようです。彼らはいろいろな部署にばらばらにいるため、必要とされる知識やスキルの定義がなかったり、キャリアパスが明確でなかったりするようです。一方、欧米企業では、彼らはCFOの下でFP&A、コントローラーと呼ばれ、管理会計のプロフェッショナルとして、明確な業務の定義とキャリアパスがあるのが普通です。

私は長年外資系企業のファイナンス部門に勤務し、2社で子会社のCFOを務めました。FP&A(Financial Planning & Analysis)の業務にあたることが多いキャリアでした。キャリアの途中で日本企業で貢献することも考えたのですが、日本企業にはFP&Aにあたるポジションが経理財務部門の中にないことがわかりました。日本企業のCFOは経理財務を担当していて、経営企画部門は別にあることがわかりました。日本企業だけが、他の国とは違う組織になっているようです。

欧米では、Management Accountantsが、従来のBeancounter(豆を数える人、計数管理だけをする人)から、ビジネスパートナー(経営者・事業責任者の業績管理と意思決定の支援をする人)に変わってきた、という論文が1990年代から、それはそれはたくさん書かれています。日本ではそのような研究はほとんどなく、法政大学教授の福田淳児先生が2000年代に、数編の管理会計担当者に関する論文を書いておられるものしかありません。福田先生は米国留学の際に、管理会計担当者研究で有名なシーゲル先生のもとで米国の管理会計担当者の調査・研究をされ、帰国されてから日本企業向けに同様の調査と研究をされました。素晴らしい研究だと思います。しかし残念なことに、その後は同様の研究は全く進んでいません。なぜでしょうか?そもそも日本企業では、管理会計担当者がプロフェッショナルとして認識されていないようです。認識されていないので研究されていないようです。

管理会計担当者の機能を高めて彼らがビジネスパートナーとして業績目標達成や意思決定の支援に貢献できるようになれば、日本企業の業績は高まると思います。

欧米では管理会計担当者の役割はビーンカウンターからビジネスパートナーへ変わった、と言われます。さて、日本企業の管理会計担当者の役割は変わったのか?これは研究されていません。そもそも日本企業の管理会計担当者って誰?定義も役割もはっきりしません。その役割が変わったかどうかもよくわかりません。とても残念なことです。

わたしの論文は、「日本企業の管理会計担当者の役割は変わったのか?ビジネスパートナーになっているのか?」という問いを論じています。日本企業の管理会計担当者がだれだかわからないのであれば、きちんと定義して、その機能を強化しないといけません。変わっていないのなら変えなければ!